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「小さな鉄道」の記憶
軽便鉄道・森林鉄道・ケーブルカーと人びと
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2020年11月16日
- 書店発売日
- 2020年11月18日
- 登録日
- 2020年10月20日
- 最終更新日
- 2020年11月17日
書評掲載情報
2021-03-21 | 鉄道ファン 5 |
2021-03-21 |
鉄道ピクトリアル
5 評者: 三木理史 |
2021-02-26 |
週刊読書人
評者: 南陀楼綾繁 |
2021-01-31 |
読売新聞
朝刊 評者: 稲野和利(ふるさと財団理事長) |
2021-01-21 |
鉄道ジャーナル
3 評者: 蜂谷あす美 |
2021-01-09 | 朝日新聞 朝刊 |
2021-01-06 | 交通新聞 |
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重版情報
2刷 | 出来予定日: 2021-03-31 |
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紹介
主要都市を結ぶ幹線鉄道の網目からもれた地域に、人びとは細い線路を敷き、そこに小さな列車を走らせた。
地場の産業をのせ、信仰や観光をのせ、そして人びとの暮らしと想いをのせて走った鉄道の、懐かしく忘れがたい物語。
目次
序章 道の文化史/神崎宣武
コラム① 駅舎と執務/原 恭
コラム② 鉄道唱歌/成瀬純一
第一章 街道と鉄道/髙木大祐
コラム③ 「駅前」の誕生と賑わい/山本志乃
コラム④ 駅弁のさまざま/黒田尚嗣
第二章 産業の振興と軽便/山本志乃
コラム⑤ 失われた沖縄の鉄路/坂下光洋
コラム⑥ おわん電車といも電車/三輪主彦
第三章 魚梁瀬森林鉄道の人びと/中村茂生
コラム⑦ 銀幕を走る軽便鉄道/成瀬純一
コラム⑧ 鉄路と神仏/髙木大祐
第四章 朝鮮の軽便鉄道/松田睦彦
コラム⑨ 瀬戸内少年の朝鮮行旅/松田睦彦
コラム⑩ 鉄道会社の野球チーム/山本志乃
第五章 満洲の熊岳城温泉と軽便鉄道/高 媛
コラム⑪ 北海道の殖民軌道/今井啓輔
コラム⑫ 観戦鉄道/高 媛
第六章 寺社詣でとケーブルカー/三輪主彦
コラム⑬ 路面電車/黒田尚嗣
コラム⑭ 東京モノレール 成瀬純一
あとがき /山本志乃
前書きなど
旅の文化研究所では、平成五(一九九三)年の開所以来、さまざまな切り口から国内外の「旅の文化」をとらえる特定研究プロジェクトを設定し、調査研究活動の要としてきた。とりわけ国内を対象とした研究では、落語や名所図会など、これまで研究対象としては正面から取り上げられることのなかった題材をあえて選び、「旅」という人間の根源的な活動に迫る試みを続けてきた。そうした流れの中で、平成二八(二〇一六)年度からは、かつて全国各地に存在していた軽便鉄道をテーマに、特定研究「軽便鉄道の記憶」プロジェクトを開始した。本書はその四年にわたる研究成果をまとめたものである。
鉄道をテーマに掲げながら、メンバーには一人として鉄道研究を専門とする者はいない。目指したのは、鉄道とともにあった暮らしの息遣いの掘り起こしである。そのため、それぞれの得意分野に軸足を置きつつ、軽便鉄道という未知の事物に対峙して意見を交わしあった。この四年間で通算一七回の研究会を重ね、時々に、鉄道のプロ、旅行のプロからも知見をいただいた。やがて議論は軽便鉄道の枠を超え、森林鉄道、ケーブルカーと、消えゆく山の暮らしの照射にまで広がった。その過程で、「小さな鉄道」という主題がおのずと浮かび上がってきたのである。
軽便鉄道の間近で暮らしてきた人たちに会うため、フィールドワークにも出かけた。生活路線として現存する三重県の四日市あすなろう鉄道と三岐鉄道北勢線の沿線では、家々の庭先をかすめながら走る鉄道が、この土地の風景そのものとなっていた。一三年前に廃線となった宮城県のくりはら田園鉄道は、文化財としての新たな価値を与えられ、地域の歴史の語り部として姿を残していた。いずれの場所にも、鉄道をわが身の一部であるかのように愛おしむ人たちがいて、その思いを熱く語り聞かせてくれた。往時の小さな鉄道は、かけがえのない最先端の近代技術であり、暮らしを支える大きな存在だった。
この研究プロジェクトの総括にとりかかった令和二年の春先から、新型コロナウイルスという思いがけない災厄に、世界中が覆われた。
距離をあけ、息を殺し、素手で触れることが厭われ、「新しい日常」という名のもとに皆が進んでそれを実行した。
上記内容は本書刊行時のものです。