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芸術文化の投資効果 加藤 種男(著) - 水曜社
.
文化とまちづくり叢書

芸術文化の投資効果 メセナと創造経済

発行:水曜社
A5判
392ページ
並製
価格 3,200円+税
ISBN
978-4-88065-450-8
Cコード
C0036
一般 単行本 社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2018年9月27日
書店発売日
登録日
2018年8月21日
最終更新日
2018年10月5日
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書評掲載情報

2018-11-10 日本経済新聞  朝刊
2018-11-03 朝日新聞  朝刊
評者: 椹木野衣(美術批評家、多摩美術大学教授)

紹介

実践企業の事例多数収載!
企業メセナ活動の第一人者が報告する創造経済への企業寄与がもたらす社会像。

 経済と文化は対立関係にあるとみなされてきた。あるいは、経済と文化の関係は常に緊張をはらんできた。経済から見ると、一方的に支援を要請してくる文化は金食い虫で、経済的負担をもたらすことはあっても、まさか経済発展に寄与するなどとは考えもしなかった。

 にもかかわらず不思議なことに、企業や経済人が惜しみなく芸術文化に投資を続けてきた事例を多数見出すことができる。投資者にとって決して有利とは見えない投資をなぜ多くの人がしてきたのか。それを本書では検討する。

創造経済学から言うならば、芸術文化に対する投資は、社会的観点からも見ても、企業経営の観点から見ても研究開発に投資することと全く同じである。創造経済の現場には実に豊かな世界が広がっている。その豊かな世界の現場からの報告が本書である。

 芸術文化振興への支援をメセナと呼んできた。特に企業の活動を企業メセナという。本書では、企業メセナを芸術文化への投資としてとらえ、芸術文化の振興はもちろん、広く社会創造に寄与する活動を意味する言葉として使う。

全体の構成は以下の通りである。

第一章から第五章までで企業メセナの現状、すなわち創造経済のこの二、三十年の姿を概観する。福武總一郎とベネッセの仕事に始まって、竹中工務店と棟梁文化、福原義春と資生堂の仕事を中心に、東日本大震災の復興と企業メセナなど多彩な側面を含む。

そして、第六章でこの概観のもとになった画期について触れる。すなわち、企業経営者のパトロン型メセナから組織としての企業メセナへの転換である。

第七章と第八章では、企業メセナに至る前史を検証する。明治期から昭和期にかけての三人の企業人の活躍を中心に取り上げる。今日の横浜の基礎を築いた原三溪、田園都市構想によって宝塚歌劇を創設した小林一三、民芸のパトロンに始まり芸術文化の大衆化を推進した山本爲三郎の三人である。
そして、最後に芸術文化と経済の関係の創造的再構築のために、グローバルとローカルについて小論を立てて、本書を締めくくる。

目次

第一部  創造経済の現場 その多様な広がり

第一章 企業が担う地域創造、創造都市の展開
一、福武總一郎とベネッセの壮大な実験
二、近江八幡の場合
三、地域創造、都市創造の展開

第二章 文化の多様性、メセナの多様性
一、企業メセナを牽引した百貨店と新聞社
二、気鋭の芸術家の発掘支援
三、本業のノウハウを生かした企業メセナ

第三章 文化施設 ハードとソフト
一、企業による文化施設の展開
二、企業オフィスの芸術文化活用
三、箱もの批判と音楽ホール

第四章 東日本大震災と企業メセナ
一、迅速に対応した企業メセナ 
二、企業メセナの広がりとアートNPOフォーラム
三、震災を巡る先人の知恵

第五章 アート・プロジェクトの時代
一、企業はなぜ音楽が好きか
二、アート・プロジェクトの時代

第六章「企業メセナ」の誕生
一、資生堂と文化資本経営
二、企業メセナ協議会の発足
三、財団の設立とその可能性

第二部  企業メセナの前史 先駆者たちの文化投資

第七章 殖産興業の時代 原三溪の夢
一、殖産興業とメセナ
二、パトロンとしてのメセナ

第八章  民衆文化の再評価と総合芸術の成立
一、山本爲三郎と民藝
二、小林一三の夢と宝塚

第三部  芸術文化のトラウマから脱するために 
第九章  グローバルとローカル

著者プロフィール

加藤 種男  (カトウ タネオ)  (

クリエィティブ・ディレクター。アサヒビール株式会社企業文化部を経てアサヒビール芸術文化財団事務局長。アサヒ・アートフェスティバルなど多数の企画を立ち上げる。2004~10年横浜市芸術文化振興財団専務理事兼大佛次郎記念館館長。12~17年企業メセナ協議会専務理事。そのほか東京都歴史文化財団エグゼクティブ・アドバイザー、京都造形芸術大学客員教授、文化審議会政策部会委員など歴任。芸術選奨文部科学大臣賞受賞。

上記内容は本書刊行時のものです。