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マンガの認知科学
ビジュアル言語で読み解くその世界
原書: The visual language of comics: Introduction to the structure and cognition of sequential images
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2020年6月20日
- 書店発売日
- 2020年6月4日
- 登録日
- 2020年4月6日
- 最終更新日
- 2022年8月30日
書評掲載情報
2021-03-01 |
マンガ研究
vol.27 評者: 和田裕一 氏(東北大学大学院情報科学研究科 准教授) |
2020-12-04 |
認知科学
Vol. 27 No. 4 評者: 島田英昭 氏(信州大学学術研究院教育学系教授) |
2020-08-17 | FRAGRANCE JOURNAL 2020/8月号(No.482) |
2020-08-16 |
河北新報
評者: 吉村和真 氏(京都精華大学マンガ学部教授) |
2020-08-16 |
京都新聞
評者: 吉村和真 氏(京都精華大学マンガ学部教授) |
2020-08-07 |
週刊読書人
2020年8月7日号(3351号) 〈6面〉 評者: 池上 賢 氏(拓殖大学政経学部准教授・社会学・メディア論) |
2020-07-30 |
島根日日新聞
評者: 吉村和真 氏(京都精華大学マンガ学部教授) |
2020-07-19 |
山口新聞
評者: 吉村和真 氏(京都精華大学マンガ学部教授) |
2020-07-18 |
陸奥新報
評者: 吉村和真 氏(京都精華大学マンガ学部教授) |
2020-06-30 |
朝日新聞
夕刊 いまどきマンガ塾 視覚表現の多様性 探求 大阪本社版 評者: 雑賀忠宏 氏(京都精華大学国際マンガ研究センター研究員) |
2020-06-29 |
じんぶん堂(朝日新聞 好書好日)
評者: 野間健司 氏(紀伊國屋書店 書籍・データベース営業部) |
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重版情報
2刷 | 出来予定日: 2022-09-13 |
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S・マクラウドの名著『マンガ学』の影響を受けた,次世代の認知科学者兼コミック作家による新たな挑戦! |
紹介
私たちはマンガのストーリーをどうやって理解しているのか? 絵は言語としてどのように働くのか? マンガを形づくる「ビジュアル言語」の理論を,米国の認知科学者兼コミック作家の著者が提唱。言語学,認知心理学,認知神経科学,比較文化学による検証を通じ,マンガ読解の仕組みのカギとなるビジュアル言語の構造を探る。
認知科学と言語学によるマンガ論の新領域!
漫画家かつ研究者ニール・コーン氏の力技に震撼する。
日本のマンガ研究界はどう受け止めるか?
夏目房之介(マンガ・コラムニスト)
【主な目次】
第1章 ビジュアル言語入門
●第1部 ビジュアル言語の構造
第2章 ビジュアル語彙〈1〉――ビジュアルな形態
第3章 ビジュアル語彙〈2〉――コマと構文
第4章 ビジュアル言語文法――物語構造
第5章 コマの配置構造による視線誘導
第6章 ビジュアル言語の認知
●第2部 世界のビジュアル言語
第7章 アメリカのビジュアル言語
第8章 日本のビジュアル言語
第9章 中央オーストラリアのビジュアル言語
第10章 等価原理
目次
日本の読者の皆さんへ
序
第1章 ビジュアル言語入門
「ビジュアル言語」とは何か?
ビジュアル言語の構造
本書の概観
第1部 ビジュアル言語の構造
疑念1――コマは恣意的なサインではない
疑念2――コマの体系的な語彙はない
第2章 ビジュアル語彙〈1〉――ビジュアルな形態
ビジュアル語彙
開放系語彙項目
スキーマの連結/結論
閉鎖系語彙項目
拘束形態素・接辞付加/補充・ウムラウト/重複
結論
第3章 ビジュアル語彙〈2〉――コマと構文
コマの一定性
補充コマ/コマのテンプレート/注意単位としてのコマ
ビジュアル言語の構文
マルチモーダルな構文
結論
第4章 ビジュアル言語文法――物語構造
コマの系列を理解するための三つの考え
1.コマの推移/直線的な一貫関係 / 2.雑多な推移 / 3.一般的認知スクリプトスキーマ/結論
基本的物語カテゴリー
ピーク/開始/解放/確立/延長/定位/要約
ビジュアル物語の構成素構造
修飾/要約
談話と映画
結論
第5章 コマの配置構造による視線誘導
コマ配置の問題
コマの配置構造のバリエーション/コマの配置構造の理解
コマの配置構造の制約
埋め込み構造/記述的ツリー構造/無限のキャンバス
結論
第6章 ビジュアル言語の認知
グラフィック形態
動線/キャリア
物語文法
物語カテゴリー/構造と意味の分離/構成素構造/ビジュアル物語と脳
流暢性
第2部 世界のビジュアル言語
第7章 アメリカのビジュアル言語
グラフィック構造
アメリカの主流のビジュアル言語――カービアン/カートゥーン系のアメリカのビジュアル言語――バークシアン/インデペンデント系のアメリカのビジュアル言語/芸術観点と言語観点
形態
物語文法
言語なのか方言なのか
第8章 日本のビジュアル言語
グラフィック構造
形態
物語文法
ビジュアル言語文法の違い
日本と海外での影響
ビジュアル言語の伝播/言語接触
第9章 中央オーストラリアのビジュアル言語
文化的役割
グラフィック構造
空間定位
語彙と形態
静的サイン/動的サイン
物語文法
消去/物語構造/系列的制約
文化と構造との出会い
第10章 等価原理
その他の研究領域
結語
訳者あとがき
索引
原註
参考文献
画像出典
前書きなど
日本の読者の皆さんへ
南カリフォルニアで育った14歳のときに、親友のお兄さんが日本の大学に留学しました。親友はお兄さんが持ち帰った数冊のマンガに興味がなく、それらを私にくれました。マンガが米国で翻訳出版される前のことでしたから、日本語が読めなかった私は、絵を読むことでストーリーを理解しようとしました。この経験から、絵が言語としてどのように働くのか、文化による「ビジュアル言語」の違いがあるのか、を意識するようになりました。いろいろな面で、この経験は本書で述べたアイデアの基盤を作ったといえます。
本書が日本で出版されることをとても嬉しく思います。言語学と心理学を研究するようになる前の私の専攻は日本と仏教に関するアジア研究で、交換留学生として都留文科大学で学びました。私のビジュアル言語研究の多くは、これらの経験、とりわけ比較文化への関心に由来するものといえます。
私の研究の翻訳は中澤 潤先生以外は考えられません。彼はコミックの心理学研究を最も早く開始した研究者で、私の研究に影響を与えてくれました。私の拙い日本語で書いても心許ないので、本書が彼の翻訳で読めるなら安心です。
マンガ研究は日本で長い歴史があります。私の考えや研究が日本語になり、マンガ研究に直接貢献できるなら、嬉しく思います。
ニール・コーン
2020年2月
オランダ、ティルブルフにて
版元から一言
【メディア紹介】
2020.06.29 じんぶん堂 powered by 好書好日
読む/視るとき何が起きる? 紙/電子を越えるリテラシーのために 紀伊國屋書店員さんおすすめの本
評者: 野間健司 氏(紀伊國屋書店 書籍・データベース営業部)
ニール・コーン『マンガの認知科学―ビジュアル言語で読み解くその世界』(北大路書房)が遂に邦訳されたのは、緊急事態宣言下で自宅勤務中に接した朗報でした。著者は……認知科学者にしてコミック作家で、言語学と認知科学の知見を駆使して、(日本のマンガを含む)コミックの視覚の文法に迫ります。原書……も非常に好評でしたが、学術書のスタイルを貫きつつも一般読者に届くポップな論述、マンガ愛が伝わる著者自身のイラストで、ページが進みます。私たちがマンガを読むときに頭の中で起きていることを可視化してくれる、これまた「ビジュアル・リテラシー」の必読書です。
★2020年6月30日付朝日新聞 夕刊(大阪本社版)
いまどきマンガ塾「視覚表現の多様性 探求」
評者: 雑賀忠宏(京都精華大学国際マンガ研究センター研究員)
…本書の主要な議論の対象は、マンガやコミックスのような社会・文化に特殊な視覚的表現のジャンルが成り立つことを可能にする、人間の視覚的コミュニケーションの基本構造だ。コーン氏は、それを「ビジュアル言語」という呼び名で言い表している。
言語の連なりがメッセージとして意味を持つように、私たちは図像の連なりを、いかにしてひとつの「物語(ナラティブ)」として認知し、理解しているのだろうか。そのような根源的な問いについて、本書はマンガあるいはコミックス的な表現を事例にしながら探求していく。そこには、マンガ読者が無意識に行っている「ビジュアル言語」の受容的経験が説明づけられている面白さがある。
……「文字」対「ビジュアル」という構図ではなく、「ビジュアルなナラティブ」自体の基本構造を解きほぐしながら、マンガやコミックスから、オーストラリアの先住民族の「砂絵」を介したコミュニケーションまで、その社会における表現の多様性に目を向ける。このコーン氏の議論は、マンガ的な視覚表現が周縁的なものではなく、日常の様式としてすっかり埋め込まれている私たちにとっても刺激的なものとなるだろう。
邦訳を機に日本の読者からどのような反応があるのか、興味は尽きないところだ。
上記内容は本書刊行時のものです。