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オフショア化する世界 ジョン・アーリ(著) - 明石書店
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オフショア化する世界 人・モノ・金が逃げ込む「闇の空間」とは何か?
原書: Offshoring

発行:明石書店
四六判
328ページ
上製
価格 2,800円+税
ISBN
978-4-7503-4715-8
Cコード
C0036
一般 単行本 社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2018年9月10日
書店発売日
登録日
2018年9月11日
最終更新日
2018年9月21日
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書評掲載情報

2019-01-05 日本経済新聞  朝刊
評者: 櫨浩一(ニッセイ基礎研究所専務理事)

紹介

1990年以降急速に進んだ新自由主義経済と移動に関する技術革新を背景に、国境を超えた労働・金融・娯楽・廃棄物・エネルギー・気候変動やセキュリティの移動が「富裕層の一人勝ち」を引き起こす「オフショア化」を分析し、そこからの脱却の道を探る。

目次

 まえがき

第1章 オフショアリングとは何か
 問題の所在
 国境を越えて
 オフショアリング
 オフショアリングの議論

第2章 秘密
 ジンメルの秘密論
 秘密が持つ力
 新自由主義
 結論

第3章 仕事のオフショアリング
 分業
 コンテナ化(containerisation)
 自由貿易
 仕事のオフショアリング過程
 3Dプリント(3D printing)
 結論

第4章 オフショアされた課税
 「租税回避」入門
 「隠れ蓑」
 金融の過剰
 租税をめぐるポリティクス
 結論

第5章 オフショア化されたレジャー
 海賊
 どこかよそでの消費
 オフショアの過剰な場所
 ドバイ
 オフショアリングのレジャー区域
 セキュリティ

第6章 エネルギーのオフショア化
 エネルギー問題
 化石燃料エネルギー
 遠隔地からのエネルギー
 極地からのエネルギー
 金融化
 結論

第7章 廃棄物のオフショア化
 廃棄物の搬入
 廃棄物の創出
 廃棄物の移送
 排出物質の移送
 結論

第8章 セキュリティのオフショア化
 遠隔化するセキュリティ
 オフショアでの戦闘
 オフショアでの拷問
 越境する監視体制

第9章 海へ、視界の向こうへ
 海を取り込む
 規制なき船
 統制なき海
 秩序なき気候
 結論

第10章 すべてをホームに戻す
 ドバイ・モデル
 オフショアの規模
 金融と民主主義
 モノのオフショア化の流れを反転させる
 さらなるオフショアリングか、それともパワーダウンか?
 オフショアリングか、それともオンショアリングか?

監訳者 あとがき――脱組織資本主義社会のディストピアから

 索引

 著者略歴、監訳者・訳者略歴

前書きなど

監訳者 あとがき――脱組織資本主義社会のディストピアから

 本書はOffshoring, Polity Press, 2014 を翻訳(全訳)したものである。
 著者のジョン・アーリJohn Urry は1946年6月1日、ロンドン郊外生まれ。2016年3月18日ランカスターにて70歳で没した。ケンブリッジ大学にて経済学学士および修士。1972年に同大学で社会学博士。1970年から没するまでランカスター大学に籍を置いた。

 (…中略…)

 アーリが「オフショアリングoffshoring」という言葉で意味するものは、一般的に言われているような、外国企業を免税する(あるいは税制が緩い)の国や地域に、秘密の口座をつくり、それを利用して脱逃れやマネーロンダリングを行うことといった狭い意味でのオフショアリングだけではない。ここで論じられているのは、労働、金融、娯楽、廃棄物、エネルギーの枯渇、気候変動やセキュリティと幅広く、多く語られるのは、1990年以降急速に進んだ新自由主義経済、あるいは移動に関する技術革新を背景に、国境を超えた人、モノ、イメージ、カネのフローと移動が引き起こす市民社会(あるいは民主主義)に対する負のインパクトである。国家が(同時に民主主義を標榜する勢力も)撤退した「脱組織資本主義」における経路依存――ロックインしたネガティヴなシステムとは何か。アーリのオフショアリングが内包する意味は、富裕層が一人勝ちする新自由主義のシステムとの関係のなかで、あるいは民主主義のコントロールを失った「リキッド」な現代社会との関係のなかで、資本主義の「内部」と「外部」がいかなる形で存在、あるいは融解しているのか、私たちは想像力を持って読み取るべきであろう。

 (…後略…)

著者プロフィール

ジョン・アーリ  (ジョン アーリ)  (

1946年生まれ。ケンブリッジ大学にて社会学博士課程を修める。ランカスター大学卓越教授(Distinguished Professor)。同大学にて学科長や学部長等の要職を歴任後、2003年から2015年までランカスター大学モビリティ・リサーチ研究所(Centre for Moblities Research)所長。王立芸術協会会員、学士院会員、英国社会科学協会会員。英国国立航空研究所主任研究員。社会の複雑化の視点から、資本主義、グローバリゼーション、移動や情報技術の革新がもたらす社会変動などについて独創的な理論を唱える、現代社会学を代表する社会学者。その著書は各国にて20言語以上にわたって翻訳出版されている。邦訳には、アンソニー・エリオット共著、遠藤英樹監訳『モバイル・ライブズ――「移動」が社会を変える』(ミネルヴァ書房、2016年)、吉原直樹監訳『モビリティーズ――移動の社会学』(作品社、2015年)、吉原直樹監訳『グローバルな複雑性』(法政大学出版局、2014年)、ヨーナス・ラースン共著、加太宏邦訳『増補改訂版 観光のまなざし』(法政大学出版局、2014年)など。2016年3月逝去。

須藤 廣  (スドウ ヒロシ)  (監訳

跡見学園女子大学観光コミュニティ学部教授。専攻:観光社会学。主な著書・論文に、『観光化する社会――観光社会学の理論と応用』(ナカニシヤ出版、2008年)、『ツーリズムとポストモダン社会――後期近代における観光の両義性』(明石書店、2012年)。翻訳(共訳)スコット・ラッシュ著『ポスト・モダニティの社会学』(法政大学出版局、1997年)。

濱野 健  (ハマノ タケシ)  (監訳

北九州市立大学文学部准教授。専攻:社会学。主な著書・論文に、『日本人女性の国際結婚と海外移住――多文化社会オーストラリアの変容する日系コミュニティ』(明石書店、2014年)、長友淳編『グローバル化時代の文化・社会を学ぶ――文化人類学/社会学の新しい基礎教養』(世界思想社、2017年)。

上記内容は本書刊行時のものです。