ヴィンテージ・シティー(Vintage City)で歴史書出版社をやること
古本屋・古着屋・リサイクルショップ・中古レコード屋・・・、こういった「古いもの」を扱うお店がたくさんある街、いうなればヴィンテージなものに囲まれた街に、歴史書出版社・有志舎はあります。東京都杉並区の高円寺というところです。そもそも、古い寺町だったところで、町名の由来である「高円寺」というお寺は今もあります。でも、現代の若者には「古着屋さんがいっぱいある街」「音楽と演劇の街」というイメージが一番ぴったりくるのかもしれません。
ここは私の生まれ育った街であり、今も住んでいる街なのですが、創業13年目の昨年4月18日に、有志舎の事務所を神保町からここに移転させました。
「なぜ、わざわざ「本の街」である神保町から移転するの?」
と何人かの方に訊かれました。
今までは、
「高円寺を、神保町に負けない「本の街」にしようと思っているので」
と答えていたのですが、昨年末からちょっと変わってきました。
私は、「本でコミュニティを再生させよう」というスローガンで活動しているボランティア団体「本が育てる街・高円寺」というものに参加しているのですが、その代表である狩野俊さん(古書店兼居酒屋の「古本酒場 コクテイル書房」店主でもある)と話し合っていくなかで、高円寺を「最先端ばかりを追い求めるのではなく、古いものを大事にして、それを何度でも甦らせていく、そういう温かくてエコでセンスある文化や生業がある街にしていきたい」「高円寺を日本のブルックリンにしよう」ということで意気投合したのです。だから、これからは高円寺をそういう「リサイクル・リバイバル・リボーン」を特徴とする街にしていく活動と共に、有志舎をやっていくということにしました。
有志舎の社是自体が、「歴史の〈知〉を広めることで、世界中から戦争を無くしていきたい」というものであり、歴史を学ぶとは「温故知新(古きをたずねて新しきを知る)」なわけですから、まさに「リサイクル・リバイバル・リボーン」な知的営為なわけです。そして、そういう歴史をテーマにした長く読み継がれる「ヴィンテージ」な歴史書をつくることが有志舎が目指す出版活動ということになります。
でも、何だかこう書いていると、カタカナばかりでルー大柴みたいですが・・・(苦笑)。
気を取り直してっと・・・、ということで、今年からは「ヴィンテージ・シティ」実現に向けて色々と活動していこうと思います。本業の出版活動はもちろん継続しながら、有志舎主催による歴史関連書の読書会も高円寺でやっていき、少しでも歴史書に皆さんが触れていただけるよう広めていければと思っていますし、歴史学や歴史書に関するトークイベントも開催します。さらには「歴史フェス(もしくは歴史書フェス)」のような歴史と歴史書に関するお祭り的なイベントも構想していきたい。
そうやって、ただ出版しっぱなしにするのではなく、細々とであっても実際に本や学問を街のなかで自らの手で広めていく活動をしていきます。
こういう新しい事をやっていくことで、きっと私も一皮も二皮も剝けて「リボーン」できるに違いありません。
「古いもの」が大好きな皆さん、ぜひ高円寺に来てみませんか!