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「講」研究の可能性 Ⅱ
- 書店発売日
- 2014年10月11日
- 登録日
- 2015年8月13日
- 最終更新日
- 2015年8月13日
紹介
人びとの孤立化・無縁化が進み、互いを繋ぐ場を見失いがちな今日、先行研究を検討しつつ、日本社会における「講」の多様な活動実態に光を当て、それらの果たしてきた役割を改めて問う論文集の続刊。
昭和30年代まで、各地でさかんに行われた「講」活動は、地域社会の変動とともにいまや消失しようとしている。講をとりまく急速な社会変動を見据え、「講」活動の今日的動向をさまざまな角度から考察し、堀一郎の「日本宗教史」研究を再吟味しながら、現代社会における「講」研究の可能性を追求する。
目次
叙文 長谷部八朗
編纂の経緯
各論攷の要旨
Ⅰ 堀一郎の講理論
堀一郎の宗教・信仰史論と「講」――「日本宗教史」論の視座から―― 長谷部八朗
はじめに
一 『日本宗教史』研究の歩み――堀一郎に至るまで――
二 堀一郎の宗教・信仰論
三 堀一郎の「講」に関する論述とその意味
おわりに
Ⅱ 講の結集、維持、変遷の諸相
日本仏教における講の展開――浄土真宗の事例を中心に―― 高山秀嗣
はじめに
一 親鸞の時期の講について
二 覚如から存如の時期の講について
三 蓮如の時期の講について
四 浄土真宗の講の特徴
まとめにかえて
明治初年の神宮教院・神宮教会と神風講社 武田幸也
はじめに
一 神宮教院・神宮教会の成立と愛国講社
二 『神宮教会講社規則』と『神風講社社長取締事務取扱心得書』にみる神風講社
三 『神風講社結収大意』にみる神風講社結収の目的と役割
四 『神宮教会規制』における神風講社
五 『開知新聞』にみる神風講社の実態
おわりに
講を継承するしくみと工夫――尾州鷹羽講の組織と運営―― 小林奈央子
はじめに――本論の目的――
一 鷹羽講所在地域の概観
二 鷹羽講の歴史
三 鷹羽講の組織
四 鷹羽講運営の工夫
ま と め――講の継承成功の背景にあるもの――
法を嗣ぐ在俗行者――近代期における尾張儀覚刑を例にみる御嶽講の結集原理―― 関 敦啓
はじめに
一 御嶽講の成り立ちと変遷
二 霊神信仰と在俗行者
三 在俗行者の講として
まとめにかえて
大岳講に関する一考察――札の置き場の検討を中心に―― 西村敏也
はじめに
一 大岳山・大岳神社・大岳講
二 八王子市戸吹の事例
三 小金井市貫井南町の事例
四 小金井市緑町の事例
おわりに
講の社会的位置づけの変遷、および講研究の射程に関する一考察 天田顕徳
問 題
一 背 景――桜井のみた風景、我々のみる風景――
二 講の社会的位置づけの変化
三 講の現場において――筑波山禅定を事例として――
結 論――現代における講の価値と講研究の可能性――
Ⅲ 講的集団、あるいは講周辺の諸相
近世における高野山参詣意識――頼慶筆『高野山縁起』を参考に―― 村上弘子
はじめに
一 高野山の縁起
二 勧進文と縁起
三 遍照光院頼慶について
四 頼慶筆『高野山縁起』について
五 頼慶死後の『高野山縁起』
むすびにかえて
近代神社の講的組織――気多講社を事例に―― 市田雅崇
はじめに
一 神社付属の講的組織
二 気多神社の講的組織の概要
三 気多神社保存会と気多講社
四 気多講社と気多神社保存会――まとめにかえて――
稲荷信仰の講と祭り 牧野眞一
はじめに
一 稲荷講と祭り
二 稲荷講としてのオビシャ
三 在地講としての稲荷講
おわりに
集落の再編――ショウキサマ祭祀の継承―― 石本敏也
はじめに
一 調査地概観
二 ショウキサマ祭祀の実態
三 トウマエの言説
四 祭祀組織の変遷
五 ショウキサマ祭祀組織の再々編
六 集落の再編
ま と め
奥山半僧坊信仰の変遷――講と漁業史の視点から―― 髙木大祐
はじめに
一 方廣寺と鎮守
二 椎河大龍王の信仰
三 奥山半僧坊の縁起と伝説
四 浜名湖周辺の奥山半僧坊信仰
五 「明治一四年大火」と奥山半僧坊信仰の広がり
六 漁民信仰からみた奥山半僧坊
むすびにかえて
あとがき
上記内容は本書刊行時のものです。