どもる君へ いま伝えたいこと
伊藤 伸二, 竹内 敏晴:特別寄稿
発行:解放出版社
この版元の本一覧
A5判 95ページ 並製
定価:1,200円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7592-6715-0 C0037

奥付の初版発行年月:2008年08月
書店発売日:2008年08月11日
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紹介

どもる著者自らの40年以上にわたる取り組みが生みだした体験の結晶を、いま悩む子どもや親、関係者に贈る。具体的な場面をふまえ、どもりとどうつきあえばよいかをQ&Aでやさしく語りかける。小学校高学年以上向き。

目次

どうして私はどもるようになったのですか。私が弱いからですか。/どもりを治す方法に、どんなものがありますか。/友だちが、どもっている私をからかいます。今はまだからかうぐらいだけど、いじめにあったらと思うと不安です。/友だちがいません。どうしたら友だちができますか。/私がどもると、よく笑う人がいます。とても嫌なので、やめてほしいんですが、どうしたらいいですか。/ことばの教室はどんなところですか。/このままどもりが治らなかったら、どんな仕事に就けますか。就いたらいいですか。/君が幸せに生きるために/特別寄稿・竹内敏晴「自分の話し方を見つけるために」

前書きなど

 どもりは、「そんなことぐらい気にしないで」とまわりから言われるほど単純で軽いことじゃない。
 どもりは、とても人間らしい悩みで、古くは紀元前のギリシャの時代から、どもる人の悩みは記録として残っている。また何人もの小説家が自分のどもりについて書いている。
 君がどもることで困り、悩むのは当たり前のことなんだ。ぼくなんか21歳まですごく悩んでいたし、世界的に活躍した有名な人で、30歳や50歳まで悩んでいた人がいる。君がひとりで考えるほど簡単なことではない。
 ぼくは深刻に悩んでいたとき、真剣にどもりに向き合ってこなかった。21歳の夏に、初めて同じようにどもる人と出会ってから、勉強しはじめた。それから40年以上、どもりに取り組み、どもりについて考え続けてきた。
 どもる人の会や研究会をつくり、世界大会を初めて京都で開き、国際組織を作った。また、子どものための吃音親子サマーキャンプは今年で19年になる。世界のたくさんの人の体験が集まったことで、どもりとどのようにつきあえばいいか、ぼくなりに整理ができた。
 だから今、ぼくが40年以上考え、実際に行動して、失敗したこと、とてもよかったことを、君のようにどもることで困ったり、悩んでいる人に伝えたかったんだ。
 ぼくは今、たくさんの友だちがいて、自分の好きな仕事をし、充実した楽しい人生を送っている。今からみると、なぜあんなに悩んだのだろうと不思議なくらいだ。だけど、あんなに悩んだから今のぼくがある。悩んだことに意味があったんだ。
 自分の人生はよかったと思えた瞬間に、過去の苦しかったことは、オセロゲームの黒がぱたぱたと白に変わるように、大切な意味のある経験に変わる。
 たくさん失敗してきた先輩として、「こんなことには気をつけてね」と書きたかった。少しでも参考になればうれしい。
 ちょっと先を歩いてきたどもる人間として、一緒に考えたい。ぼくはいつも君の味方だから。決してひとりで悩まないでね。

著者プロフィール

伊藤 伸二(イトウ シンジ)

1944年、奈良県生まれ。明治大学文学部・政治経済学部卒業。大阪教育大学特殊教育特別専攻科修了。大阪教育大学専任講師(言語障害児教育)を経て、現在伊藤伸二ことばの相談室主宰。日本吃音臨床研究会会長。大阪教育大学非常勤講師。言語聴覚士養成の専門学校5校で吃音の講義を担当。
小学2年生の秋から吃音に強い劣等感をもち、1965年にどもる人のセルフヘルプグループ・言友会を設立するまで吃音に深く悩む。現在は大阪スタタリングプロジェクトでセルフヘルプグループの活動を続けている。1986年に第1回吃音問題研究国際大会を大会会長として開催し、世界44か国が参加する国際吃音連盟の設立にかかわる。現在国際吃音連盟の顧問理事。
セルフヘルプグループ、論理療法、交流分析、アサーション・トレーニング、竹内敏晴からだとことばのレッスンなどを活用し、吃音と上手につきあうことを探る。吃音ワークショップ、吃音親子サマーキャンプ、臨床家のための吃音講習会などを開催している。
著書に『吃音者宣言』(たいまつ社)、『人間とコミュニケーション』(日本放送出版協会)、『吃音と上手につきあうための吃音相談室』『新・吃音者宣言』(芳賀書店)、『やわらかに生きる-論理療法と吃音に学ぶ』『話すことが苦手な人のアサーション-どもる人とのワークショップの記録』(金子書房)、『知っていますか? どもりと向きあう一問一答』『知っていますか? セルフヘルプ・グループ一問一答』(解放出版社)、『治すことにこだわらない、吃音とのつき合い方』(ナカニシヤ出版)など
日本吃音臨床研究会のHP http://www.bekkoame.ne.jp/i/chioaki

言葉がうまく出ないときって、あせる。悔しくて、恥ずかしくて、悲しくて泣きたくなることだってある。僕もそうだ。でも、この本は、「そんな自分もまるごと、世界にたった一人の、かけがえのない自分なんだよ」と教えてくれた。肩をそっと抱いてくれた。優しくて力強い手のひらの温もりが、確かに伝わった。 (重松 清さんの推薦文より)
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