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残らなかったものを想起する ⾼森 順⼦(著/文 | 編集) - 堀之内出版
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残らなかったものを想起する 「あの日」の災害アーカイブ論

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発行:堀之内出版
四六判
縦188mm 横130mm 厚さ23mm
448ページ
並製
定価 2,200円+税
ISBN
978-4-909237-92-7   COPY
ISBN 13
9784909237927   COPY
ISBN 10h
4-909237-92-5   COPY
ISBN 10
4909237925   COPY
出版者記号
909237   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2024年3月11日
書店発売日
登録日
2023年9月22日
最終更新日
2024年4月9日
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紹介

【災害のあった「あの日」を、あなたはどう伝えますか?】

能登半島地震、東日本大震災、阪神・淡路大震災、御嶽山噴火……

巨大災害が頻発するこの国では、防災、減災、命の大切さといった「残すべき目的」を掲げた「アーカイブ」が作られ続けています。

しかし、そこで残すべきとされるものは、ほんのひと握りでしかありません。
私たちはもっと豊かなものを、もっと多様な手法で、留めたり、取り戻したりすることができるのではないでしょうか。
本書では、現場の偶然性をとりこみながら「残らなかったもの」への想起の回路を開こうとするユニークな15のメディア実践を紹介。

あなたにとっての「災害」、そして「アーカイブ」のイメージを大きく変える実践がここにあります。

語り
復元模型
被災写真
報道写真
育児日記
絵画
手記集
朗読
展覧会
記念式典
災害遺構
文化施設
映像
美術館
演劇 etc……

目次

●はじめに 実践知としての災害アーカイブ
高森順子

【第Ⅰ部】 「あの⽇」以前の暮らしへの回路を創造する

●第1章 語り
──被災の「前」について語ること
⽮守克也・杉山高志

●第2章 復元模型
──「あの日」より前の風景、街並み、そこでの記憶を復元する
磯村和樹・槻橋 修

●第3章 被災写真
──予期せぬアーカイブとしての
溝口佑爾

●column 01
「わたし」を主語にする──育児日記の再読をとおした震災経験の継承の試み
松本 篤


【第Ⅱ部】 「あの⽇」への想起のダイナミクス─モノを創造する

●第4章 報道写真
──御嶽山噴火の新聞報道にみる記録のポリフォニー
林田 新

●第5章 絵画
──関東大震災における美術家の表現活動
武居利史

●第6章 手記集
──「読む」まえに「ある」ものとして
高森順子

●column 02 応答のアーカイブ─東日本大震災から「10年目の手記」
佐藤李青

●column 03
展覧会というメディアの可能性(1)─「3・11とアーティスト:進行形の記録」
竹久 侑


【第Ⅲ部】 「あの⽇」への想起のダイナミクス──場を創造する

●第7章 記念式典
──災害を社会はいかに記憶するか
福田 雄

●第8章 災害遺構
──何を残し、何を伝えるのか
林 勲男

●第9章 文化施設
──わすれン!アンダーグラウンド──「3がつ11にちをわすれないためにセンター」の活動に見る映像メディアの実践と倫理
⾨林岳史

●第10章 映像
──断片をつなぎあわせて透かし見る
青山太郎

●column 04 展覧会というメディアの可能性(2)──「3・11とアーティスト:10年目の想像」
竹久 侑

●column 05 12章「カタストロフィの演劇体験」への手引き
富田大介

【第Ⅳ部】 未災者との回路を創造する──実践と研究の「あわい」から

●第11章 美術館
──人の心を動かす主観的記憶の展示
⼭内宏泰

●第12章 演劇
──カタストロフィの演劇体験──「『RADIO AM神戸69時間震災報道の記録』リーディング上演」省察
富田大介


●おわりに
高森順子

前書きなど

災害は私たちからすべてを奪うわけではない。被災地に目を凝らせば、「あの日」以前に確かにあったものの痕跡がある。災害によって大きく変化した世界で、「残らなかったもの」の痕跡としての「残ったもの」は、過去と地続きのものとして人々を引き寄せ、かつてを辿るための寄す処となる。「残ったもの」に引き寄せられた人々は、自らの意志でもって「あの日」を境に失われたものを想像しようと手探りするだろう。一方、「残ったもの」を目の前にして、「残らなかったもの」の不在の重みに怯み、逡巡し、想起への回路を閉ざしてしまう人々もいるだろう。被災地の「残ったもの」をめぐる現場には、想起という行為を惹起しつつ、同時に、抑圧するという、いわば想起の「引力」と「斥力」がはたらいている。
本書のねらいは、このような想起をめぐる「引力」と「斥力」のはたらく場において、そこに何らかのアクションを起こしたり、アクションが起きた現場をつぶさに見つめてきた執筆陣を集め、彼らが取り扱うアクションをまずもって「災害アーカイブ」として見立てることで、現場に根差した災害アーカイブ論の出発点をつくることである。じっさい、本書の執筆陣のなかには、結果的に、アクションが予期せぬかたちで「災害アーカイブ」として機能したと考察する者や、アクションを「災害アーカイブ」として捉え直すことで、その特異性に普遍的な知を見出した者もいる。言い換えれば、本書は、想起をめぐるアクションを「語り」、「写真」、「絵画」などのメディアごとにまずは並べてみることで、「残ったもの」から「残らなかったもの」を想起するという「災害アーカイブ」のねじれた営みをパフォーマティブに検討する企図のもとにつくられた。
(「はじめに」より)

版元から一言

ブックデザイン 成原亜美(成原デザイン事務所)
装画 五月女哲平 “Two doors, two windows”
Acrylic on canvas, 130 x 162 cm, 2010
撮影 Kei Okano

印刷・製本  中央精版印刷株式会社

上記内容は本書刊行時のものです。