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後藤正治ノンフィクション集 第4巻『リターンマッチ』『私だけの勲章』
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2010年4月
- 書店発売日
- 2010年4月1日
- 登録日
- 2010年9月13日
- 最終更新日
- 2012年10月30日
受賞情報
大宅壮一ノンフィクション賞
書評掲載情報
2016-05-01 | 東京新聞/中日新聞 |
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紹介
大宅壮一ノンフィクション賞
受賞作 『リターン マッチ』
極め付きの不良少年は、やがて定時制高校の教師になり、
ボクシング部をつくった。
言葉ではなく、生徒たちと裸でぶつかり合う。
人生で負け続けてきた少年たちに 勝利の味を教えてやりたい…。
ヒゲ先生とゴンタクレたちとの日々を描いた、
後藤ワールドの決定版ともいえるヒューマン・ドキュメント。
世の片隅で、自身の技量とプライドを賭けて生き抜く。
知られざるプロフェッショナルたちを描く
著者初の短編集『私だけの勲章』を併せて収録。
目次
『リターン マッチ』
第一章……夜学
第二章……道場
第三章……攻防
第四章……硬派
第五章……敗北
第六章……亀裂
第七章……夏
番外編……その後──一九九五年
あとがき…その後──二〇〇一年
『私だけの勲章』
演歌──ネオン街・飛田に生きる最後の流し
幻の党派──先端シンクタンクはなぜ倒壊したのか
御巣鷹山──TV局の技術クルーによる大スクープ
選挙参謀──野合の知事選挙を動かす影の軍師
最後のひと振り──タイガースの代打男・川藤幸三
あとがき
第四巻解説──柳田邦男
第四巻への覚書
追記
「第四巻への覚書」より
教え子の多田悦子が、私の指示通りのボクシングをやって、世界チャンピオンになりました。「ヤンキー少女を世界チャンピオンに」という闘いに勝ちました。七〇歳近くになって、久方ぶりの勝利感に浸っています。多分、人生最後の感動だろうと思います。まだ少し生きられるようなので、続けます――。
このような文面のメールが届いたのは二〇〇九年四月十二日である。送り手は脇浜義明氏である。
『リターンマッチ』という作品を送り出して以降、西高ボクシング部とのかかわりは薄れていったが、リングサイド周辺の風の便りはずっと届いていた。多田悦子という部員のことも耳にしていた。男の子相手に喧嘩をふっかけるような「女番長」であるとか。氏好みの選手である。練習風景を見ることはなかったが、随分と入れ込んで指導に当たったであろうことはありありと目に浮かんだ。
柳田邦男「解説」より
昨今、「事実をもって語らしめる」というノンフィクションの方法を、「事実なら何でも書いていい」と誤解して、取材者のモラルなどは何も持たないでプライバシー暴露に血道をあげたり、あげくは事実の確認さえろくにしないで取材リポートを書いたりするジャーナリストが多くなっている。その文品は惨憺たるものだ。そういう中で、当世ははやらない「堅実な」とか「地味な」という形容詞をあえて使いたくなる後藤さんの仕事の仕方と作風は、かえって重要なメッセージ性を持っている。そんな意味もこめて、私はこの『リターンマッチ』をいつまでも残したい作品と位置づけている。
上記内容は本書刊行時のものです。