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フィデル・カストロ自伝 勝利のための戦略 フィデル・カストロ・ルス(著) - 明石書店
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フィデル・カストロ自伝 勝利のための戦略 (フィデルカストロジデンショウリノタメノセンリャク) キューバ革命の闘い (キューバカクメイノタタカイ)
原書: LA VICTORIA ESTRATÉGICA: Por todos los caminos la Sierra

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発行:明石書店
四六判
632ページ
上製
定価 4,800円+税
ISBN
978-4-7503-3668-8   COPY
ISBN 13
9784750336688   COPY
ISBN 10h
4-7503-3668-8   COPY
ISBN 10
4750336688   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0023  
0:一般 0:単行本 23:伝記
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2012年9月
書店発売日
登録日
2012年9月13日
最終更新日
2012年10月10日
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書評掲載情報

2017-01-29 朝日新聞  朝刊
評者: 山岡加奈子(アジア経済研究所主任研究員)
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紹介

フィデル・カストロが自ら書き下ろしたキューバ革命の回顧録。1958年春から、同年8月に革命軍が政府軍をシエラ・マエストラから一掃したラス・メルセデスの戦いまでの経過を、当時のメモや手紙などの資料をもとに詳述。貴重な写真、戦略地図も多数掲載。

目次

序章
第1章 キューバの全般的な、そして1958年5月の革命闘争の状況
第2章 我々の陣地を防御する準備
第3章 ラス・メルセデスの占領
第4章 ミナス・デ・ブエイシートからの圧力
第5章 南からの上陸
第6章 敵はラス・ベガスに到着
第7章 サント・ドミンゴに到着
第8章 南における重大な脅威
第9章 ラ・プラタの脅威
第10章 サン・ロレンソまで
第11章 ヒグエにおけるケベード
第12章 サント・ドミンゴにおける最初の戦い
第13章 メリーニョの戦い
第14章 サント・ドミンゴの防御
第15章 反乱軍の後方支援部隊
第16章 ヒグエの戦闘――包囲線最初の戦い
第17章 ミナス・デ・フリオの防御
第18章 ヒグエの戦闘――増援部隊との戦い
第19章 ヒグエの戦闘――第18大隊の降伏
第20章 サンチェス・モスケラの敗北
第21章 ラス・べガス・デ・ヒバコアの勝利
第22章 ホバルの戦い
第23章 ラス・メルセデスの戦い――包囲後最初の4日間
第24章 ラス・メルセデスの戦い――最後の3日間
第25章 戦いの総括

 訳者あとがき

 写真
 地図
 歴史的文書
 武器

前書きなど

訳者あとがき

 本書は2010年8月にキューバのOficina de Publicaciones del Consejo de Estado(国家評議会出版局)から出版された、キューバ革命の指導者、フィデル・カストロ・ルス(以下フィデルと略)の初めての自伝、La victoria estrategica: Por todos los caminos de la Sierraの全訳である。フィデルの伝記はこれまでにも本人とのインタビューなどを材料として、いくつか出版されているが、フィデル自身によるものはこれが最初である。原著は総数860ページ近くにもなる浩瀚なもので、特に歴史的に貴重な記録である文書の写し、写真、地図がふんだんに利用されている。いうまでもなく日本語版にはこれらすべてを掲載した。
 文書の写しの大半は、シエラ・マエストラにおけるゲリラ戦の間、カストロが部下に宛てた命令伝文で、その指示がきわめて詳細かつ具体的であったことが例証される。フィデルがとくに厳しく命じたのは、弾丸の無駄遣いの抑制であり、使用した弾丸の数と残りの数を逐次報告するように要求している。こうした文書は、農民の義勇兵が伝令となって、山塊の中を徒歩で運んだ。またバティスタ政府軍が反乱軍を殲滅するために策定したF-F極秘作戦の全文が掲載されているが、著者は本文で、「F-Fはフィデルの終わり(Fin de Fidel)」を意味したのではないかと語る。
 フィデル自身の本書への熱の入れようにも並々ならぬものがあり、出版された当初、キューバ共産党の機関紙『グランマ(Granma)』に全文が連載され、さらに国内の主な政府機関には閲覧のために配布された。ボリビアでの医療協力業務を終えて帰国した関係者を、フィデルが空港で出迎えた際に、一人一人に本書を手渡す姿がテレビのニュース番組で放映されたこともある。初めての自伝で注目されたのはフィデルの幼年時代の記述で、彼自身が「これまで何度となく同じ質問を受けてきたので、初めて自分の言葉で書き記すことにした」と語っている。
 しかし本書の歴史的な価値の多くは、シエラ・マエストラにおけるゲリラ戦の詳細な記録である。そのため訳者一同細心の注意を払って訳業に取り組んだが、どれだけ正確に読者の皆様に内容をお伝えできたか、十全な確信を持てない部分も若干はある。というのも、例えば地名については、原著において必ずしも標記が一致していない個所も散見された(たとえばLa MaestraとMaestra, El NaranjoとEl Naranjalなど)からである。ただしこれらのマイナーな相違は、本書全体を理解する上では、妨げにはならないことと思われる。翻訳の基本方針として、原著の記述を極力そのまま訳出することとした。
 なお翻訳は序章から第4章を山岡加奈子、第5章から第13章を田中高、第14章から第19章を工藤多香子、第20章から第25章を富田君子が担当した。
 本書の刊行には実に多くの皆様のご協力を得た。まずキューバ共産党中央委員会のヘスス・アイーセ・ソトロンゴ(Jesus Aise Sotolongo)氏に日本語版出版についてご尽力いただいた。ホセ・フェルナンデス・デ・コシーオ(Jose Fernandez de Cossio)在京キューバ大使をはじめ大使館員の皆様は、予定された出版時期より大幅に遅れたにもかかわらず、温かく作業を見守って下さった。校正作業の一部を、荻野悦子さんにご協力いただいた。編集と翻訳作業全体のまとめは、明石書店編集部の兼子千亜紀さんの行き届いたご配慮で、何とか完成にこぎつけることができたことに、訳者一同深く感謝したい。なお本書の続編であるフィデルのLa contraofensiva estrategica: De la Sierra Maestra a Santiago de Cubaも、明石書店より刊行予定である。あわせてご一読いただければ幸いである。思わぬ誤記、誤訳などもあろうかと思われる。読者諸氏のご叱正を賜りたい。

 2012年7月   山岡加奈子、田中高、工藤多香子、富田君子

著者プロフィール

フィデル・カストロ・ルス  (カストロ・ルス,フィデル)  (

1926年8月13日、キューバ・オリエンテ州(現オルギン州)生まれ。1950年ハバナ大学法学部を卒業し、その後ハバナで弁護士を開業。1953年モンカダ兵営襲撃失敗により収監されるが、その後釈放されメキシコに亡命。1956年革命軍を組織し、メキシコからグランマ号でキューバに潜入。ラ・シエラ・マエストラ山中でゲリラ闘争を開始。1959年元旦、革命戦争に勝利し、2月に首相に就任。1965年キューバ共産党第一書記就任を経て、1976年国家評議会議長となる。2006年に腸内出血で倒れ、実弟のラウル・カストロに権限委譲を発表。2008年2月、国民向けのメッセージで国家評議会議長および最高司令官の職を辞す意向を表明した。

山岡 加奈子  (ヤマオカ カナコ)  (

日本貿易振興機構アジア経済研究所主任研究員。
早稲田大学法学部卒業、シカゴ大学国際関係学部修士課程修了、1989年より現職。
主要著書・論文:
駒井洋監修・中川文雄、田島久蔵、山脇千賀子編著『ラテンアメリカン・ディアスポラ(叢書グローバル・ディアスポラ第6巻)』(共著、明石書店、2010年)
『岐路に立つキューバ(アジア経済研究所叢書8)』(編著、岩波書店、2012年)

田中 高  (タナカ タカシ)  (

中部大学国際関係学部教授。ハバナ大学キューバ経済研究所客員研究員(2010~11年)。
主要著書・論文:
『エルサルバドルを知るための55章』(共編著、明石書店、2010年)
「日本・キューバ貿易と米国の対日政策――1960年代、キューバ糖貿易をめぐる三か国の外交姿勢とナショナリズム」(『国際政治』第170号、2012年)

工藤 多香子  (クドウ タカコ)  (

慶應義塾大学経済学部准教授。
主要著書・論文:
羽田功編『民族の表象――歴史・メディア・国家』(共著、慶應義塾大学出版会、2006年)
真島一郎編『二〇世紀〈アフリカ〉の個体形成――南北アメリカ・カリブ・アフリカからの問い』(共著、平凡社、2011年)

富田 君子  (トミタ キミコ)  (

スペイン語通訳、翻訳家、コーディネーター。
在京キューバ大使館に長年勤務し、キューバ・日本の政務・友好・文化・スポーツ交流に従事。現在、フリーコーディネーターとして日本におけるスペイン語圏の文化・芸術の紹介、国際交流推進活動に従事。

上記内容は本書刊行時のものです。