「イラスト、はじめました」
笠間書院の編集(+その他もろもろ)の西内です。過去の版元日誌で装丁作りのことを書かせていただきましたが、あれから組版もはじめ、近年イラストも描きはじめました。今日はイラストの話をしたいと思います!
きっかけは、2年前に担当した『忍者の教科書』の表紙「忍之助」です。
この本は編集作業が非常にタイトでした。一般向けの本でしたので、普段の小社の装丁のように古典資料を用いるのは抵抗があり、有料イラストを探したのですが妥当なものが見つからず、イラストレーターさんに依頼する時間もなかったため、勢いで描きました。ちなみに絵の心得は、高校生のときに美術部員(という名の帰宅部員)だった程度ですが、Adobe Illustratorがあればなんとかなるということが証明されたと思います。ちなみに『忍者の教科書2』もあります。
それから、昨年、日本近世文学会の『和本リテラシーニューズ』
という冊子用に「しみまる」と、そのライバル「しばのすけ」
というキャラクターを描かせていただきました。文学系の学会は会員数が減少の一途を辿っています。この状況を危惧している若手・中堅の研究者の発案で、一般の方に学会の活動をお知らせする冊子を作ろうという話になりました。それが『和本リテラシーニューズ』です。こちらで全ページのPDFをダウンロードすることができます。一般の方に親しみをもってもらうために、やっぱりキャラクターがいた方がいいよね、という編集会議の流れで、描くことになりました。「しみまる」はヤマトシミ、「しばのすけ」はシバンムシという、どちらも和本(明治頃以前に印刷・書写された資料)などによくいる(いてほしくはない)、紙を舐めたり、食べて穴をあけてしまう本の虫をモデルにしています。
「しみまる」は、大阪大学文学研究科を中心に開発された、スマートフォン・タブレット向けのアプリ「くずし字学習支援アプリ KuLA(クーラ)」
にも登場します。「KuLA」は、3000枚を超えるくずし字の用例画像を参照することができ、一問一答形式のクイズや、江戸時代に刊行された和本の読解に挑戦することで、楽しくくずし字を学ぶことができます。「しみまる」の声を開発代表の飯倉洋一先生があてていて、クイズに答えると一言もらえます。無料アプリで、iOS版・Android版がありますので、是非ダウンロードして遊んでみてください!
この日誌が掲載される頃には「KuLA」のバージョンアップ版が公開されていると思います(今回は「しばのすけ」も登場予定)。同時に、このアプリの使い方と、くずし字を学習するとは何ぞや?ということを紹介する書籍『アプリで学ぶくずし字』(仮)を、小社から刊行予定です。ご興味がありましたら、小社ブログをチェックしていただけますと幸いです!